「分かりやすい文章のための7ヵ条」第2条は、
主語や目的語をなるべく明らかに書き込む。
です。
平安時代の古文に顕著ですが、日本語は古来、主語や目的語をあまり書かない言語でした。
それは、狭い人間関係の中でわざわざ言葉にしなくてもコミュニケーションが成立していたからです。
しかし、現代は異なります。
人物の往来が激しくなり、価値観の違う人とも協働しなくてはいけません。
当然、主語や目的語はなるべく省略しない方が、物事はスムーズに進みます。
例を挙げましょう。
<悪い例>
定期的にミーティングを行い、コミュニケーションを図る。コミュニケーションを図ることで良質な提案を行う。そのために、堅苦しくない雰囲気作りをし、なんでも話せる環境を作る。
これは昇進・昇格試験の答案の一部ですが、おそらく社内であれば特に問題のない文章でしょう。しかし、外部の人間やちょっと遠い部署の人間には伝わりません。
「誰が」定期的にミーティングを行い、「誰と」コミュニケーションを図るのか?
「誰と」コミュニケーションを図ることで「誰に」良質な提案を行うのか?
これら省略された主語や目的語をはっきりと書くことで、文章はより分かりやすくなります。
<書き直し例>
私は今後、定期的にミーティングを行い、部下とコミュニケーションを図るつもりである。そして良質な提案を開発部に対して行う。そのためにも、私は部下との間に話しやすい雰囲気作りをし、部下がなんでも話せるようにする。
たしかに、主語と目的語を意識的に書き込むと、多少くどくはなるのですが、伝わらないよりはずっとましです。
主語のない文章は、「私」のない文章です。
そして周りの人間関係や組織のなかに埋没して生きる「私」のない文章に、説得力はありません。
説得力のある分かりやすい文章を書くためにも、意識して主語や目的語を書きこむようにしましょう。
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